キャリア相談とは何をするサービス?向いている人・向かない人
30秒で分かる要約
キャリア相談とは、仕事の選び方や今後の働き方について、専門の相談員と対話しながら考えを整理する場のことです。 求人を紹介することが目的ではなく、「自分は何を大切にしていて、どんな選択肢があるのか」を言葉にする手伝いを受けるもの、と考えると分かりやすくなります。
- 何をしてくれるか: 経験や気持ちの聞き取り、考えの整理、次に取れる行動の検討
- 検討対象になる人: 転職するかどうかを決める前に、第三者と一度整理したい人
- 注意点: 相談員が答えを決めてくれる場ではありません。公的な無料窓口と民間サービスでは、条件や仕組みが異なります
キャリア相談とは
「キャリア相談」に近い法律上の概念として、「キャリアコンサルティング」があります。職業能力開発促進法では、これを、労働者の職業の選択、職業生活設計、職業能力の開発・向上に関する相談に応じて、助言や指導を行うことと定義しています(法令本文)。ここでいう「労働者」には、働いている人だけでなく求職者も含まれます。
これを担う専門家が、2016年4月に法律上の資格となったキャリアコンサルタントです。厚生労働省の説明によると、登録制(5年ごとに更新)の名称独占資格で、守秘義務と信用失墜行為の禁止義務が課されています(厚生労働省:キャリアコンサルタント(国家資格)について)。
「キャリアコンサルタント」という名称を使えるのは、名簿に登録した人だけです。有資格者を探したい場合は、厚生労働省が案内している検索システム「キャリコンサーチ」が使えます(厚生労働省:キャリアコンサルタントを探すには)。
似たサービスとの境界
- 転職エージェント: 法律上の「職業紹介」、つまり求人と求職の申込みを受けて、雇用関係の成立をあっせんするサービスです(厚生労働省資料)。相談が中心のキャリア相談とは目的が異なります。
- キャリアコーチング: 民間の事業者ごとに内容が違うため、何をするサービスなのかは各社の説明で確認する必要があります。
- 心理カウンセリング・医療: 気分の落ち込みや体調面のつらさが中心のときは、医療機関や専門の窓口の方が合う場合があります。
コーチとエージェントの違いは、次の記事で目的・費用・向いている人の観点から比べています。
キャリアコーチと転職エージェントの違い|目的・費用・向いている人
実際に何をするのか
進め方は提供者ごとに違います。ここでは、厚生労働省の委託事業として行われている無料の公的相談を例に、流れを確認します(個人向け案内ページ、2026年9月確認)。
- 申込み: 専用の申込みページから予約する
- 日程調整: 支援センターまたはハローワーク内の相談コーナーと日程を決める
- ジョブ・カードの事前作成: 職務経歴や希望を書き出す書類を、事前に作る(書けるところまででよいとされています)
- 面談(60分): 対面またはオンラインで、キャリアコンサルタントと話す
この事業の相談では、職業紹介は行われません。求人の紹介ではなく、考えを整理するための面談です。相談の結果、「今は転職しない」という結論になることもあります。
向いている人
次のような状態の人は、検討対象になりやすいと考えられます。
- 転職するか決める前の段階にいる人。 求人を見る前に、自分の軸を整理したい
- 頭の中だけで考えて、堂々巡りになっている人。 話すことで整理が進むことがあります
- 強みや経験の言葉にし方が分からない人。 職務経歴の整理にもつながる場合があります
- 周りの意見が割れていて、自分の気持ちが見えにくくなっている人
- 転職以外も含めて、働き方を見直したい人
転職するかどうか自体で迷っているなら、先にこちらで考え方の全体像を確認しておくのも一つの方法です。
向いていない・今は必要ない人
- 「正解」や「どの会社に行くべきか」を教えてほしい人。 相談員は決める人ではなく、決めるための材料を整理する立場です。期待とずれると、物足りなさが残ることがあります
- 応募先が固まっていて、求人紹介や選考対策の具体的な支援が欲しい人。 職業紹介を行う転職エージェントの方が、目的に合う場合があります
- 話す内容をまだ言葉にできないほど、疲れが強い人。 相談より先に休むことが必要な場合もあります
- 自分で書き出して整理すれば、十分に進められる人
- 学生の人。 公的な無料相談は在職者・求職者が対象で、学生は学内のキャリアセンターなどへの相談が案内されています
「辞めたい」という気持ちの中身が、実は「休みたい」に近い、ということもあります。そこが混ざっていると感じるなら、先に分けて考えるだけでも方向が見えやすくなります。
→ 「仕事を辞めたい」と「休みたい」を分けて考える
費用・時間・利用条件
公的な無料相談
厚生労働省の委託事業として、全国47か所のキャリア形成・リスキリング支援センターと、ハローワーク内の相談コーナーで実施されています。
- 料金: 無料
- 対象: 在職者・求職者(学生は対象外)
- 時間・方法: 1回60分、対面またはオンライン
- 日時: 平日の日中が中心ですが、拠点によって夕方以降や土曜日に対応している日もあります。詳細は申込み時に確認してください
- その他: 教育訓練給付を受けるために必要な相談も、同じ窓口で無料で受けられます
対象や内容は変更される可能性があります。申し込む前に、最新の案内を確認してください。
民間のサービス
料金や回数、相談員の資格は、事業者ごとに異なります。金額や条件は各社の公式ページで確認してください。
「無料」の意味を分けて考える
公的な無料相談は、国の事業として提供されています。一方、民間の無料サービスでは、利用者以外から収益を得る仕組みを採っている場合があります。たとえば有料職業紹介では、職業安定法により、原則として求職者から手数料を受け取れず、求人企業側から手数料を受け取るモデルがあります(厚生労働省:手数料の運用ルール)。これは一例で、仕組みは事業者によって異なります。公的な無料相談とは、費用の出どころが異なる場合がある点を意識しておくと、比べやすくなります。
利用前に確認すること
- 誰が相談を担当するのか。 キャリアコンサルタントの資格を持つ人か、どんな分野の経験があるのか
- 何を目的としたサービスか。 相談だけなのか、求人紹介や転職支援が含まれるのか
- 費用の総額と契約条件。 回数や期間、途中でやめる場合の扱い、追加料金の有無
- 個人情報の扱い。 職務経歴や勤務先の情報を、誰とどこまで共有するのか
- 相談後の案内。 別のサービスや高額なプランを勧められた場合に、その場で決めず持ち帰れるか
代替選択肢
- 自分で書き出して整理する。 「決めたいこと」「選択肢」「手放したくないもの」を紙に書くだけでも、頭の中は整いやすくなります
- 信頼できる人に話す。 同僚や友人、家族など。ただし、立場上の利害がある人の意見は、参考程度にとどめた方が判断しやすい場合もあります
- 転職エージェントに話を聞く。 応募を前提とせず、市場の状況を知る目的で使う人もいます。使い方や向き不向きは、次の記事で整理しています
→ 転職エージェントは使うべき?向いている人・使わなくてもいい人
- 公的な無料窓口を試す。 費用をかけずに、キャリア相談がどんなものかを確かめる方法の一つです
次に確認できること
いま決めることは、何もありません。まずは、次の二つのどちらかから始められます。
- 公的な無料相談の案内ページを開いて、対象・流れ・拠点を見てみる
- 相談したいテーマを、一文だけ書き出してみる
どちらも、相談するかどうかを決める前にできることです。