キャリアコーチと転職エージェントの違い|目的・費用・向いている人

work

「転職を考え始めたけれど、誰に相談すればいいのか分からない」。そんなとき、名前が挙がりやすいのがキャリアコーチと転職エージェントです。どちらも「転職の相談」に見えるため、違いが分かりにくいという声もあります。

この記事では、キャリアコーチと転職エージェントの違いを、目的・費用の負担・求人紹介の有無・使い分けの目安の4つの軸で整理します。どちらが優れているかを決める記事ではありません。自分の状況ならどちらが合いそうかを考える材料にしてください。

キャリアコーチと転職エージェントの違い:まず要点

  • 目的: キャリアコーチには、対話を通じた考えの整理や行動の支えを掲げる事業者があります。転職エージェントは、求人と求職者の間をつなぎ、雇用関係の成立をあっせんすることが中心です。
  • 費用の負担: キャリアコーチには、利用者が料金を支払う民間サービスがあります。料金体系は事業者によって異なります。転職エージェントでは、制度上、求職者から手数料を受け取ることは原則としてできません。
  • 求人紹介: 転職エージェントは求人の紹介が中心です。キャリアコーチという呼称だけでは、求人紹介の有無は判断できません。求人紹介まで行うサービスでは、職業紹介事業としての許可等も確認してください。
  • 使い分けの目安: これは法律や制度上の区分ではなく、この記事での整理です。考えの整理を主目的にするなら相談型のサービス、具体的な求人探しを主目的にするなら転職エージェント、と分けて考えることができます。

用語について

「転職エージェント」は通称です。「転職エージェント」に近い制度上の概念として、職業安定法上の「有料職業紹介事業」があります。職業紹介は、求人と求職の申込みを受けて、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすることと定められています(厚生労働省資料)。

一方、「キャリアコーチ」は、今回確認した厚生労働省の資料では、定義や登録制度の対象として扱う記述を確認できませんでした。国家資格の「キャリアコンサルタント」(名称独占、登録制)とは別の呼称として使われることがあり、同じものとは限りません(厚生労働省:キャリアコンサルタント(国家資格)について)。

比較表

比較軸キャリアコーチ転職エージェント
目的考えの整理・行動の支え求人紹介・転職の成立支援
費用を負担する人利用者負担のサービスあり(事業者による)求職者は原則負担なし(制度上)
提供内容対話による支援を掲げる事業者あり(内容は事業者による)求人紹介、応募の調整など(サービスにより異なる)
求人紹介呼称だけでは判断できない(職業紹介を行う場合は許可等を確認)あり(職業紹介が中心)
使い分けの目安考えの整理が主目的のとき具体的な求人探しが主目的のとき
注意点契約内容・総額・解約条件の確認提案が自分の希望と合っているかの確認

表は要点だけです。「使い分けの目安」の行は、制度上の区分ではなく、この記事での整理です。「事業者による」「サービスにより異なる」の部分は、実際に使う事業者の公式情報で確認が必要です。

キャリアコーチの特徴

キャリアコーチが行う内容は、事業者ごとに説明が異なります。事業者の公式ページには、転職に限らず、今の仕事を続けるか、副業や独立に挑戦するかも含めて考える、と案内する例があります。

料金には大きな幅があります。コース契約の形をとる事業者も、1回単位で利用できる形をとる事業者もあります。総額・期間・回数は、各事業者の公式ページで確認してください。

向く人

  • 転職するかどうか自体を、まだ決めていない人
  • 頭の中の考えを、対話で言葉にしたい人
  • 転職以外も含めて、働き方を見直したい人
  • 費用をかけて、継続的な伴走を受けたい人

向かない人

  • すぐに求人を見て、応募したい人(求人紹介を行わない事業者もあります)
  • 費用を抑えて、まず考えを整理したい人(公的な無料窓口など、別の方法があります)
  • 話すだけでなく、自分で行動を進める時間が取れない人

契約前には、相談員の資格や経歴、総額、解約・返金の条件、求人紹介の有無を確認してください。国民生活センターは、就活中の学生に向けて、無料のカウンセリングのつもりが高額な契約の勧誘につながった相談が寄せられているとして、注意を呼びかけています(国民生活センター)。対象は学生ですが、その場で決めずに持ち帰るという姿勢は、社会人にも参考になります。

転職エージェントの特徴

有料職業紹介事業は、厚生労働大臣の許可を受けて行う事業です。許可を受けた事業者は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で、許可・届出受理番号や事業主名称から検索できます(許可・届出事業所の検索)。

手数料については、職業安定法により、有料職業紹介事業者は、例外を除いて求職者から手数料を徴収できないとされています。有料職業紹介では、求人企業側から手数料を受け取るモデルがあります(厚生労働省:手数料の運用ルール)。これは一例で、手数料の仕組みや額は事業者ごとに異なります。

向く人

  • 応募したい職種や業界が、ある程度固まっている人
  • 求人を探す手間を、減らしたい人
  • 応募や面接の調整を、支援してほしい人(支援の範囲はサービスにより異なります)

向かない人

  • 転職するかどうか自体が決まっていない人(求人の提案が、いまの気持ちとずれる場合があります)
  • 自分のペースで、求人を比べたい人

利用前には、許可番号の有無と、職務経歴などの個人情報の取り扱い方針を確認してください。また、求人企業側から手数料を受け取るモデルでは、提案の背景が自分の希望とずれていないか、自分でも確かめる必要があります。

迷ったときの選び方

以下は、制度上の区分ではなく、この記事での使い分けの目安です。

転職するかどうか、まだ決まっていない場合 求人紹介を行わない相談型サービスや、公的な相談窓口から始めると、求人を選ぶ前に考えの整理に集中できます。

転職するかどうか自体で迷っている人は、先にこちらで考え方の全体像を確認できます。

転職するか迷ったときに、最初に分けて考えたいこと

応募したい職種や業界が決まっている場合 求人紹介が中心の転職エージェントの方が、目的に合いやすくなります。

エージェントを使うかどうかで迷う人は、向いている人・使わなくてもいい人を整理した次の記事が参考になります。

→ 転職エージェントは使うべき?向いている人・使わなくてもいい人

費用を抑えて整理したい場合 公的な無料窓口や、自分で書き出して整理する方法があります(次の節で説明します)。

整理してから、応募も進めたい場合 相談型のサービスで方向性を決めたうえで、エージェントに求人を紹介してもらう、という順番で使う人もいます。

両方使う/どちらも使わない選択肢

両方使う場合 目的を分けると、整理しやすくなります。考えの整理には相談型のサービス、求人探しにはエージェント、という分け方です。使う事業者の利用規約や契約内容は、それぞれ確認してください。

どちらも使わない場合 次のような、公的なサービスもあります。

  • ハローワーク: 国(厚生労働省)が運営する職業紹介機関で、全国に500か所以上あり、無料で相談できます(厚生労働省:ハローワークの相談支援)。
  • キャリア形成・リスキリング相談コーナー: 全国47か所の支援センターとハローワーク内で、ジョブ・カードを使ったキャリアコンサルティングを無料で行っています。対象は在職者・求職者で、職業紹介は行われません(個人向け案内ページ、2026年9月確認)。

キャリア相談の全体像は、次の記事で整理しています。

キャリア相談とは何をするサービス?向いている人・向かない人

よくある質問

Q. キャリアコーチと転職エージェントは、同時に使えますか。 同時に使うこと自体は、目的を分けて考えれば整理しやすくなります。利用規約や契約内容は事業者ごとに異なるため、それぞれ確認してください。

Q. 転職エージェントは、本当に無料ですか。 職業安定法により、有料職業紹介事業者は、例外を除いて求職者から手数料を徴収できないとされています。例外に当たる職種などの詳細は、厚生労働省の資料で確認できます。

Q. キャリアコーチは、キャリアコンサルタントと同じですか。 同じとは限りません。「キャリアコンサルタント」は名称独占の国家資格で、登録した人だけが名乗れます。キャリアコーチが資格を持っているかどうかは、相談員によって異なるため、事前に確認してください。

Q. 転職するか決めていなくても、転職エージェントに相談できますか。 受け付ける条件はサービスごとに異なります。利用前に、事業者の案内で確認してください。

次に確認できること

いま決めることは、何もありません。まずは、次のどちらかから始められます。

  • 「いま知りたいのは、考えの整理か、求人か」を、一文で書き出してみる
  • 気になる事業者の公式ページで、費用、提供内容、契約条件、求人紹介の有無を見比べてみる