Money
家計を見直したいとき、最初に見る3つの数字
家計の見直しを何から始めるか迷うときの整理です。手取り・固定費・自由支出の3つの数字を、定義と単位をそろえて確認する手順を紹介します。節約を目的にせず、まず状況を把握するための入口です。
家計を見直したほうがいい気はしている。でも、何から手をつければいいのか分からない。節約のコツを調べると、情報が多すぎて、かえって動けなくなる。そんな状態の人もいます。
この記事は、節約を勧めるものではありません。家計の見直しを何から始めるかを、最初に見る数字の整理として示すものです。この記事では、入口として「手取り・固定費・自由支出」の3つを取り上げます。3つは便宜的な選び方で、公的な分類ではありません。自分の状況に合わせて増減して構いません。
先に確認したい、優先順位の高いこと
次のような状態のときは、家計の見直しより先に、状況を整理できる窓口があります。
- 返済が難しい借入がある
- 支払いの滞納がある
- 近い期限の生活費が不足している
借入があること自体と、返済が難しい状態は別です。これらの状態に当てはまるときは、家計の見直しを一人で進める前に、公的な相談先を確認できます。厚生労働省の生活困窮者自立支援制度には、家計状況の「見える化」、支援計画の作成、滞納の解消や債務整理に関する支援、必要に応じた関係機関へのつなぎなどを行う家計改善支援があります。利用できる支援や窓口は地域・状況によって異なるため、地域の自立相談支援機関などで確認してください(厚生労働省:生活困窮者自立支援制度、2026年10月確認)。
見直す前に、「見えていないこと」を確かめる
家計の見直しは、削ることから始めなくても構いません。最初にやることは、いまの状況を数字で見えるようにすることです。次のような問いで、どこが見えていないかを確かめてみます。
- 毎月、手元に入ってくるお金は、いくらか
- 毎月、ほぼ決まって出ていくお金は、いくらか
- それ以外に、何にいくら使っているか
- 収入と支出の差は、プラスか、マイナスか、分からないか
「分からない」でも構いません。分からない項目が見つかるのも、整理の成果です。
最初に見る3つの数字
数字は、定義と単位をそろえて見ます。月単位で見ることを、まずの目安にします。
1. 手取り(月)
手取りは、額面の収入から、税金や社会保険料などが引かれたあとの、実際に受け取る額です。給与明細の「差引支給額」や、通帳に入金された額で確認できます。
賞与や、不定期の収入は、月の手取りとは分けて書きます。年に数回の収入を、月の手取りに混ぜると、毎月使える額が見えにくくなります。
2. 固定費(月)
固定費は、毎月ほぼ同じ額が出ていく支出です。たとえば、家賃やローン、通信費、保険料、サブスクリプションなどがあります。
年に1回、または数か月に1回払う支出(保険料、税金、更新料など)は、毎月の支出とは別に実際の支払時期と金額を残しておきます。家計全体を月単位で比べたい場合は、年額を12で割った「月あたりの目安」も併記すると、年間負担をならして見やすくなります。ただし、実際にお金が出る月まで消えるわけではありません。
3. その他の支出(月)――この記事では便宜的に「自由支出」
この記事では、固定費以外の支出を整理するため、便宜的に「自由支出」と呼びます。食費、日用品、交際費、娯楽などを含みます。公的な定義ではありません。
ここでいう「自由」は、自由に削れる、なくてもよい、という意味ではありません。 食費や日用品など必要な支出も含みます。最初は必要・不要を評価せず、固定費以外に実際いくら出ているかを確認します。まずは直近の1か月を入口にして、季節差や一時的な支出が大きければ、期間を広げて見ます。
3つの数字から、分かること
手取りから、その月に対応する固定費と自由支出を引くと、その月の収支の差を確認できます。ただし、年払いの税金や保険料、医療費、旅行、家電の買い替えなど、月によって大きく変わる支出がまだ入っていなければ、長期的な余裕額とは一致しません。
- 差がプラスのとき: その差額が実際に残っているか、年払い・臨時支出に充てているかを確認します
- 差がマイナスのとき: 何で補っているか(貯蓄の取り崩しなど)と、その状態がどのくらい続いているかを確認します
- 差が分からないとき: どの数字がまだ足りないかを確認します
差が分かったあとの選択肢は、一つではありません。収入を増やす方向、支出を見直す方向、その両方があります。考え方は、次の記事で整理しています。
見直しの進め方
見直しは、削ることだけではありません。進め方には、いくつかあります。
- 把握だけで止める。 数字が見えるだけで、不安の中身が整理されることがあります
- 固定費を確認する。 契約内容や、使っていないものがないかを確かめる
- 自由支出の記録を続ける。 何にいくら使っているかを、事実として書き留める
- 第三者に相談する。 一人で整理しにくいときの選択肢です。相談できる範囲と窓口の違いは、次の記事にまとめています
FP相談では何を相談できる?向いている人・相談前に準備すること
支出を減らす場合も、食事、医療、住居、安全など、生活に必要な支出まで一律に削る前提にはしません。数字を把握したあとで、どの支出を見直すかは別に考えます。
分かっていること、まだ分からないこと、自分の気持ち
- 確認できている事実: 手取りの額、固定費の項目と額、自由支出として記録した支出の合計
- まだ分からないこと: 年に数回出ていく支出の総額、将来の収入、まだ決まっていない今後の予定
- 自分の気持ち: 「減らさなければ」「使いすぎている気がする」など
気持ちの部分は、数字とは別に書いておきます。数字が出たあとで、気持ちとの違いが分かることもあります。
今決めなくていいこと
何を減らすか、いくら貯めるか、投資や保険を見直すかは、この段階で決めなくて構いません。ここで整えるのは、判断するための数字です。
お金の不安の全体像を先に見たい場合は、次の記事に地図があります。
次の小さな一歩
- 直近の給与明細か通帳で、月の手取りを確認する
- 毎月出ていく支出を、項目ごとに書き出す
- 分からない数字を、一つ選ぶ